- GLP-1受容体作動薬とは
- なぜ血糖値が下がる?GLP-1受容体作動薬の働き
- 当院で取り扱うGLP-1受容体作動薬の種類
- GLP-1受容体作動薬の投与
- GLP-1受容体作動薬の副作用や注意事項
- GLP-1受容体作動薬はどんな人が適応なの?
- GLP-1受容体作動薬のダイエット療法
- GLP-1受容体作動薬の適切な処方
GLP-1受容体作動薬とは
GLP-1(ジーエルピーワン)とは、体内で分泌されるホルモンの1つで、血糖値を低下させる作用があります。
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1の働きを促進する作用があるお薬です。
糖尿病の方は、合併症の進行を抑えるためにはHbA1cを7%未満にするのが望ましいとされています。飲み薬などのお薬を服用してもなかなかHbA1cが下がらない場合、GLP-1受容体作動薬を用いれば、血糖値の低下を促進させることが期待できます。
またGLP-1受容体作動薬には体重を減少させる効果がありますが、GLP-1受容体作動薬にも数種類あり、体重減少効果が強いもの、弱いものなど様々で、投与量によっても変わってきます。いきなり投与量を多くすると、吐き気などの副作用が強く出現することがあるため、当院では最初は少量から導入し、徐々に適正量まで増量していきます。少量でも効果がある方は、そのまま少量で続けていく場合もあります。
なお、GLP-1受容体作動薬は、食後に血糖値の上昇が起こった際に作用しますが、空腹時には基本的に作用しないため、単独では低血糖のリスクは低いお薬です。ただし他の糖尿病薬であるSU薬やインスリンと併用すると低血糖を来す恐れがあります。
なぜ血糖値が下がる?
GLP-1受容体作動薬の働き
インスリン分泌を促し、
血糖値改善に作用する
インスリンの分泌を促して血糖値を下げる作用があります。さらに、ホルモンの1つであるグルカゴンの分泌を抑え、食後に血糖値が上がるのを防ぐ効果が期待できます。
胃の蠕動運動を抑え、食後に
血糖値が上がるのを防ぐ
胃の蠕動運動を抑えて内容物が腸に送られるのを遅らせ、食後に血糖値が上がるのを抑える作用があります。
また「腹持ちが良くなる」ため、間食の量を減らせる効果が期待できます。
視床下部に働きかけ、食欲を
抑制する
脳の視床下部に作用し、食欲を抑制する効果があるので、体重増加を防ぎ肥満防止にも繋がります。
食欲抑制作用に関しては、GLP-1受容体作動薬の種類によって、効果が異なります。
「血糖値を下げたいが、体重は減らしたくない」や、「しっかり体重を減らしたい」など、患者さんの病状や希望に応じて、糖尿病専門医である院長が最適な治療薬を提案致します。
当院で取り扱う
GLP-1受容体作動薬の種類
一般名 |
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商品名 |
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リラグルチド
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ビクトーザ |
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デュラグルチド |
トルリシティ |
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セマグルチド |
オゼンピック |
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リベルサス |
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チルゼパチド |
マンジャロ |
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GLP-1受容体作動薬の投与
ライフスタイルに合わせた
無理なく継続できる治療を
GLP-1受容体作動薬は、下記のように3つの種類に分かれ、投与するタイミングも異なります。
- 毎日1~2回注射するお薬
- 週1回注射するお薬
- 毎日内服するお薬
ご自身で注射するのが不安な方は、週1回病院でお薬を注射するか(手技に慣れれば、自宅で簡単に自己注射できます)、内服する種類のお薬を選択ください。GLP-1受容体作動薬は、患者さんの年齢や生活に合わせて、最も適した種類を処方するので、お気軽にご相談頂ければと思います。
GLP-1受容体作動薬の
副作用や注意事項
副作用
- 吐き気、嘔吐
- 食欲不振
- 胃のむかつき
- 体のだるさ
上記のような症状は、治療開始し始めた頃に現れやすく、1ヶ月程で症状が消失していく可能性が高いとに言われています。
注意事項
GLP-1受容体作動薬はお腹が空いているときは作用しないので、低血糖は起こりにくいお薬とされています。なお、インスリンやSU薬と一緒に使用する場合、低血糖のリスクが高まるため注意して使用しなければいけません。また、下記に当てはまる方はGLP-1受容体作動薬の投与はできません。
- 妊娠中、授乳中
- 急性膵炎を起こしたことある
- 摂食障害や栄養失調状態がある
- 腸閉塞になったことがある
- 過去、お腹の大きな手術を受けた
GLP-1受容体作動薬は
どんな人が適応なの?
2型糖尿病に適応する薬です
GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療に使用されるお薬です。体外からインスリンを補給するのがインスリン療法で、GLP-1受容体作動薬は膵臓からインスリンが分泌されるのを促進する効果があります。なお、1型糖尿病で、膵臓が分泌するインスリンの量が極端に減少・枯渇している場合は、効果が期待できないので残念ながら適しておりません。
2型糖尿病を治療中の方で、初期から血糖値を下げるお薬の服用をしていたり、いくつかお薬を服用しているが、HbA1cが基準値まで下がらなかったりするケースなどでも使用することが可能です。
GLP-1受容体作動薬の
ダイエット療法
当院では日本糖尿病学会、日本肥満学会のステートメントに準じ、適応外使用である自由診療での処方は行っておりません。肥満症を有する2型糖尿病患者さんへの保険診療のみを行っています。
GLP-1で食欲を
コントロールします
GLP-1は小腸から分泌されるホルモンの1つで、食欲を抑える作用や血糖値を下げる作用があります。食欲が抑えられるのは、胃の内容物の消化がゆっくりになり、満腹感が続く「胃排泄遅延作用」が働くためです。食事を抜いてダイエットするのではなく。食事はしっかり摂って、なおかつ血糖値が上がるのを抑制し、満腹感が続いて食事の量を抑えることで、食欲がコントロールできるようになり、ダイエット効果も期待できます。
GLP-1受容体作動薬の
適切な処方
GLP-1受容体作動薬は、正しく使用することで安全性が高いお薬ですが、間違った方法で使用した場合、副作用といった様々な問題が生じる可能性があるので注意が必要です。
GLP-1受容体作動薬を使用するだけでダイエットができるわけではありません。服用しながら栄養バランスの整った食生活を送らなければ、体重減少に繋がらない可能性があります。また、最後は規則正しい食生活を送ることで体重のコントロールを可能にすることも大切です。ご自身に適した量を処方してもらい、適切に使用するようにしましょう。
GLP-1受容体作動薬は、ご自宅で自己注射して頂くお薬のため、使用方法に不安がある場合や体調が優れない場合は速やかに病院に連絡できるようにしてください。
GLP-1受容体作動薬はあくまで「お薬」であることを忘れず、信頼できる医師からサポートを受けて使用することが大切です。