急に体重が増えた・お腹が張る
お腹が張って苦しい、胃が重苦しい状態を腹部膨満感と呼びます。お腹の張りは、暴飲暴食、早食い、便秘などでお腹の中にガスが溜まることで生じることが多いです。また、病気の症状としてお腹が張っている場合やお腹に水が溜まる「腹水」という状態が原因になる場合もあります。原因不明のお腹の張りや、息苦しいほど強い腹痛、むくみ、尿量の減少といった症状とお腹の張りが一緒に感じる場合、速やかに当院を受診ください。
他にも、少ししか食べていないのにお腹が張る、ゲップ、おならが多い、便秘、お腹の張りで夜中に起きるといった症状がある場合も受診をお勧めします。
急に体重が増えるのは、暴飲暴食、代謝異常、余分な水分が溜まる、お薬の影響、心臓血管の疾患といったことが原因の可能性があります。急に体重が増えた方は、健康維持が困難になる恐れや何らかの病気が原因の場合もあるため、速やかに当院までご連絡ください。
急な体重増加・
お腹の張りの原因
心不全
心不全は、心臓の機能が低下してむくみや息切れといった症状が起こり、だんだんと悪くなり、ついには命に危険が及ぶこともあります。心臓が全身に血液を送り出せなくなるため、体に血液が行き渡らなくなったり、肺に血液がうっ滞することで様々な症状が現れ、心臓の機能も次第に低下してしまいます。心不全は心臓の病気によって引き起こされる場合もありますが、それ以外の病気が原因になる場合もあります。
その他にこんな症状はありませんか?
心不全によって全身に血液をしっかり送り出せなくなると、全身に十分量の酸素や栄養素が行き渡らなくなるため、階段の上り下りや坂道などの少しの運動で息切れや疲れを感じてしまいます。また、腎臓への血流が低下すると、尿量が減少して余分な水分が体内に蓄積され、体重の急激な増加や足のむくみ(足の甲やすね辺り)が現れます。さらに悪化して体内で血流が滞った場合、お腹の張り、起坐呼吸(横になると呼吸が苦しくなる状態)などの症状が現れる場合があります。
心不全の初期症状として、足のむくみや息切れがよく起こるので、思い当たる症状がある方は早めに病院を受診して医師の診察を受けましょう。当院では循環器専門医や、エコー専門技師が在籍しているため、正確な診断と治療を受けることができます。
その他に考えられる原因
体重増加
摂取カロリーが消費カロリーを上回る
食べ過ぎによる摂取カロリーの増加で、カロリー消費が追いつかない際に症状が起こる場合があります。暴飲暴食やカロリーの高い食べ物ばかり食べると、急激に体重増加が起こる恐れがあります。
体内の水分の増加
体の中の水分量の増加やむくみが原因で、突然体重増加が起こる場合があります。
ホルモンバランスの崩れ、心臓や腎臓の病気、服用するお薬の影響といったことがきっかけになることがあります。
ホルモンバランスの影響
副腎皮質ホルモンの過剰分泌、甲状腺ホルモンの異常、インスリン分泌の異常といったホルモンバランスの変化がきっかけになり、体重が増加する可能性があります。
服用中のお薬の影響
体重が増加する副作用のあるお薬もあります。例えば、抗うつ薬、抗精神病薬、ステロイド薬などが挙げられ、服用すると食欲が増したり、代謝が変化したりするため、体重増加に繋がる可能性があります。
妊娠によるもの
妊娠すると、お腹の赤ちゃんの体重や体液が増えるので体重が増加します。
妊娠中は体重が増加することがほとんどで、妊娠後期や産後に増えた体重は減っていくことが多いです。
お腹の張り
便秘
便がお腹の中に溜まるため、溜まった便や腸内で発生したガスによって、お腹の張りを感じるようになります。便秘が慢性化すると、便が硬さを増して排便する際に肛門が傷ついて痔になり、その痛みから便意を我慢してしまうため、便秘がさらに酷くなる場合があります。
便秘だからといって放置するのではなく、医師に相談して治療の必要性を判断してもらいましょう。
腸閉塞
蠕動運動の低下、手術後の癒着、血流障害、腫瘍などで、腸の中で内容物が詰まり、消化物やガス、便などを送り出せなくなる病気です。
よく起こる症状として、嘔吐、激しい腹痛、強い膨満感などが挙げられ、合併症のリスクも高まるため、注意が必要です。症状がある方は速やかに医師にご相談ください。
過敏性腸症候群
器質的疾患は見つからないのに、下痢と便秘を繰り返したり、腹痛などが慢性化したりする状態を指します。おならが多くなったりお腹の張りが起きたりする方もいます。ストレスや過度な緊張といった精神的な要因によって引き起こされるとされています。思い当たる症状がある方は、当院までご連絡ください。
呑気症
呑気症とは無意識に空気をたくさん呑み込んでしまう病気です。緊張する場面や食事の際に唾を飲み込むことで、体内に空気が溜まってしまい、消化管壁に吸収されずにおならやゲップになって排出されます。
逆流性食道炎
胃の中の食べ物が胃酸とともに食道に逆流し、食道の粘膜に炎症が生じた状態です。症状として、お腹の張り、胸やけ、みぞおちの痛み、呑酸(すっぱいげっぷ)、げっぷなどが生じるようになります。症状を繰り返すことが多いのが特徴で、そのまま放置した場合、粘膜が置き換わるバレット食道を発症します。バレット食道は食道がんに進行する可能性がある病気です。
急性胃腸炎
突然、胃腸の粘膜に炎症が起きた状態を指し、細菌・ウイルス感染、お薬の副作用といった様々な原因により発症する可能性があります。主な症状として、腹痛、胃痛、下痢、吐き気・嘔吐が挙げられ、お腹の張り、発熱、食欲不振といった症状が生じるケースもあります。
機能性ディスペプシア
胃の不調などがあるのに、検査しても潰瘍や炎症といった器質的な異常が発見されない病気です。胃の不調として、お腹の張り、みぞおちの痛み(心窩部痛)、悪心(吐き気)、胃もたれ、早期膨満感(少し食べて満腹になる)などが挙げられます。精神的なストレス、疲れ、ピロリ菌感染などの影響で発症すると言われています。
腹部の腫瘍
腹部に発生した腫瘍(胃がん、大腸がん、すい臓がんなど)、女性は卵巣腫瘍や子宮筋腫などが大きくなることで、お腹に張りを感じる場合があります。定期的に健康診断を受けて、異常が見つかれば病院を受診し、内視鏡検査などでご自身の体の健康状態を把握することが大切です。当院では腹部エコーにより、お腹の臓器を体の負担なく観察することが可能です。気になる場合はご相談ください。
上腸間膜動脈症候群
本来なら十二指腸と動脈の境にクッションの役目をする脂肪が存在しています。しかし、体重が急激に減少することで、クッションである脂肪がなくなると、大動脈、十二指腸、上腸間膜動脈がぶつかり合った状態になり、十二指腸が圧迫されます。この状態を上腸管膜動脈症候群と言います。発症すると、お腹の張り、食後の胃もたれ、腹痛などの症状が現れます。また、仰向けだと十二指腸が強く押されて症状が悪化する場合が多く、うつ伏せだと症状が軽くなる傾向があります。
急な体重増加・
お腹の張りの検査
まずは心不全や腎不全の可能性が高いと予測されます。血圧、胸の聴診、脈拍、胸部レントゲン検査、心電図検査などで詳しく調べ、血液検査や尿検査も行います。これらの検査結果から、心不全や腎不全の可能性が高いと判断されれば、より精密な検査、治療を実施いたします。
急な体重増加・お腹の張りを
感じたら当院まで
ご相談ください
心不全は命を落とす可能性もある重篤な状態のため、放置するのは危険です。お薬で症状が落ち着いたら終わりというわけでもなく、心不全の原因を突き止め治療することが必要です。さらに、生活習慣の見直しを行い、心不全をこれ以上悪化させないように心がけることも重要になります。お腹の張りや急激な体重増加がある方は、早めに当院までご相談ください。